キャリアアップ助成金とは派遣労働者、短時間労働者、有期雇用労働者といった、非正規雇用労働者の正社員化、処遇改善を行った事業主に対して助成する制度になります。
また、キャリアアップ助成金は非正規雇用労働者の優秀な人材確保、労働意欲・能力の向上を目的とした助成金制度となっています。
キャリアアップ助成金には6つのコースがあり、その改正ポイントを解説します。
・正社員として転換後、転換前6か月分の賃金と比べて下記の※いずれかが5%以上増額していること
※基本給、定額で支給される諸手当(賞与除く)を含む賃金総額
※基本給、定額で支給される諸手当および賞与を含む賃金総額
・正社員として転換後、転換前6か月分の賃金と比べて3%以上増額していること
※基本給、諸手当を含む賃金総額であり、賞与は含めない。
障害者雇用安定助成金が令和2年度で廃止に伴い、障害者正社員化コースに移管しました。
諸手当制度等共通化コースに統合されました。
④ 諸手当制度等共通化コース
支給要件
① 賞与
② 役職手当
③ 特殊作業手当・特殊勤務手当
④ 精皆勤手当
⑤ 食事手当
⑥ 単身赴任手当
⑦ 地域手当
⑧ 家族手当
⑨ 住宅手当
⑩ 時間外労働手当
⑪ 深夜・休日労働手当
① 賞与:6か月相当で50,000円以上支給する
② 家族手当:住宅手当1か月相当で1手当につき3,000円以上支給
③ 住宅手当
④ 退職金:月3,000円以上積み立て
⑤ 健康診断制度
締切:令和2年度まで
締切:令和4年9月末まで
(従業員が100人超の場合は一部加算措置を除き令和3年9月末まで)
締切:令和2年まで
締切:令和4年9月末まで
(従業員が100人超の場合は一部加算措置を除き令和3年9月末まで)
①会社の方向性と一致しない助成金をしてしまうとマイナスになってしまう
助成金には就業規則の変更や届出があるので、助成金申請に合わせて就業規則を変更してしまうと
会社としてマイナスになる可能性があります。
導入後の長期的な目線で検討することが重要になります。
②突然、助成金制度が廃止になる、支給要件が変わる場合がある
国の政策により助成金制度が廃止になったり、支給要件が変わったりすることがあります。
助成金制度は国の政策により左右されるものなので、助成金を受給できる前提で資金を調整すると
助成金制度廃止、支給要件変更に対応できなくなる場合があるので注意しましょう。
③助成金受給までに時間がかかる
助成金は申請内容などを審査した後、給付するというのが原則となっており
申請から受給までに平均で半年から1年ほどかかります。
また、会社が管轄しているハローワークまたは労働局によって受給できるまでの日数は変動するので
管轄しているハローワークまたは労働局に問い合わせてみましょう。
④受給をするまでに手間とコストがかかる
キャリアアップ助成金の給付を受けるために、様々な書類を作成・提出しなければならず
多くの手間とコストがかかります。
キャリアアップ助成金 正社員化コースの必要書類を例にあげると
①キャリアアップ計画書
②キャリアアップ助成金支給申請書
③事業所確認票
④取組後6か月の賃金支払いについての本人確認書
⑤正社員化コース内訳
⑥正社員化コース対象労働者詳細
となります。
手間とコストがかかるので、申請途中で申請を取りやめる会社も少なからずいます。
助成金申請から受給までの間、会社の方向性、資金の運用についてよく検討しながら申請しましょう。
キャリアアップ助成金を申請する前にチェックすることは、申請するコースによって違いがあります。
申請によっては加算適用を受ける場合、追加で書類を添付または準備をするようにしましょう。
キャリアアップ助成金(正社員化コース)を例に挙げて解説します。
①申請期限の確認
転換後6か月の賃金を支給した日の翌月から起算して2か月以内であること。
②キャリアアップ計画書
管轄の労働局に確認を受けていること。全ページを提出する。
③労働協約または就業規則
正社員転換後もしくは派遣従業員を派遣先で正社員として直接雇用といったように、
対象者が適用されているという雇用区分が記載されていること。
労働基準監督署の受付印があること。
④労働条件通知書または雇用契約書
転換前後の契約書が必要。
⑤出勤簿またはタイムカード
転換前後6か月、合計1年分が必要。
⑥中小企業主であることの確認書類
登記事項証明書、会社概要やパンフレットなどを添付する。
※引用:厚生労働省HPより
ここまでキャリアアップ助成金の概要や2021年の改正内容について詳しく解説していきました。
キャリアアップ助成金はコースによって支給額に差がありますが1人あたりの支給額が大きいため
人気の助成金となります。
しかし、手間とコストがかかるため助成金受給に時間がかかるのも特徴です。
次のページからは、2021年改正│キャリアアップ助成金不正受給となる観点について解説していきます。