(後編です。前回まではこちらからお読みください。)
前回までは社会保険料の計算方法や計算期間、社会保険料の計算に用いる標準報酬月額の区分についてまとめてきました。
ここからは、実際に会社が納付する社会保険料の納付方法、また従業員各人の社会保険料の変更するタイミングについての注意点をまとめていきます。
社会保険料の納付方法は、会社が日本年金機構に納付することになっています。
納付方法は2つあります。
1つ目は、日本年金機構が毎月20日前後に「保険料納入告知書」を会社に郵送してきますので、この「保険料納入告知書」で納付期日までに金融機関で納付する方法です。
2つ目は、毎月の社会保険料を、金融機関の会社の指定口座から自動振替により納付する方法です。
社会保険料の納付を口座振替で希望する場合は、日本年金機構と口座振替を利用したい金融機関に「健康保険厚生年金保険・保険料口座振替納付」の申請をします。(金融機関によって対応は異なりますが、金融機関に申請をすると金融機関が日本年金機構に申請してくれる場合もあります)
社会保険料が変更するタイミングは大きく2つあります。
1つ目は、実際の報酬の額と毎月の給与から控除される社会保険料の額の間に大きな差が生じないように、毎年1回、社会保険料を見直すために定期的に決め直されます 。これを定時決定と言います。
定時決定は、原則として7月1日現在にその会社に使用される全被保険者を対象として行われます。また、定時決定では、4月・5月・6月の3ヵ月間の間に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を決定します。この決定した標準報酬月額の給与の金額に基づいて9月分(10月納付分)から、社会保険料が変更になります。
2つ目が、報酬が昇給・降給などによって大幅に変動したときは、次回の定時 決定を待たずに標準報酬月額が改定されます。これを随時改定と言います。
随時改定は、毎月の給与の内訳の固定的賃金に変動があり、その月以後の継続した3ヵ月間に受けた報酬(非固定的賃金を含む)と従来の標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じる場合に、その3カ月間の最後の月の翌月から標準報酬月額を改定します。つまり、固定的賃金の変動から数えて4カ月目に改定します。この決定した標準報酬月額の給与の金額に基づいて社会保険料が変更になります。
社会保険料は、会社と従業員とで50%ずつ負担の労使折半です。
毎月、納付しなければならず、納付を延滞し滞納が数カ月続くと延滞金が課される場合もあり、最終的には財産の差し押さえが入るリスクもありますので、しっかりと納付し、また期日に遅れる場合は事前に日本年金機構へ相談してください。
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