算定基礎届とは、7月10日までに年金事務所等へ提出する必要のある届書です。毎年、被保険者についての報酬額の届出をすることで、実際の報酬額と標準報酬月額との乖離を防ぐ機能があります。本ページでは、算定基礎届(定時決定)の目的や手続きの流れをご紹介していきます。
社会保険(健康保険・厚生年金保険)の被保険者資格を取得したときに標準報酬月額の決定が行われます。その後、毎年7月1日時点で現に事業所に使用されている被保険者について標準報酬月額が決定されます。これを定時決定といい、ここで決定された標準報酬月額は通常その年の9月1日から翌年の8月31日までのものとされています。この定時決定のために年金事務所等へ提出する届書のことを算定基礎届といいます。
社会保険料は、被保険者の資格取得時の給与などの報酬額から決められた標準報酬月額により決定されます。この標準報酬月額は報酬額に著しい変動が生じた場合や育休や産休終了時による改定が行われる場合を除き、次回の定時決定まで変更は行われません。またこの定時決定により決定された標準報酬月額についても同様に報酬額の大きな変動などの特別な事情がない限り、次回の定時決定まで変更は行われません。定時決定では昇給などで生じた実際の報酬額と標準報酬月額とのズレを1年に1度見直し、修正する目的があります。
下記に該当する被保険者については、その年は定時決定を行われません。
この被保険者については翌年の定時決定まで資格取得時に決定された標準報酬月額が用いられます。
7月に随時改定が行われる場合は定時決定と同様に4・5・6月に支払われた報酬額をもとに改定が行わるため、8月に随時改定が行われる場合は5・6・7月の報酬額をもとに改定されるため、定時決定よりも新しく正確な報酬額になるからです。9月についても同様により正確な報酬額になるため定時決定は行われません。
年算定基礎届には対象となる被保険者の4・5・6月に支払われた給与等の報酬額を記載して、7月1日から7月10日までの間に年金事務センターまたは管轄の年金事務所へ郵送する必要があります。健康保険について健康保険組合に加入している事業所については年金事務所の他に健康保険組合についても提出の必要があります。
以下に、手続きの流れをまとめます。
6月上旬に年金事務所から会社宛てに被保険者の氏名等の基本情報が印字された算定基礎届の様式が届きます。算定基礎届の様式や記載方法のガイドブックについては日本年金機構のホームページからダウンロードすることもできます。
※算定基礎届総括表は令和3年4月に廃止となり、提出が不要となりました。
算定基礎届には対象となる被保険者全員の氏名や生年月日などの基本事項のほか、4・5・6月に支払いのあった報酬額や賃金支払いの基礎日数などの情報を記載する必要があります。記載する上での注意としては報酬額の総計や平均額を記載する箇所には基礎日数が17日に満たない月を除いた額を記載します。
7月10日までに提出する必要があります。
定時決定では4・5・6月の報酬の支給額から標準報酬月額が決定されます。そのため、その期間が繁忙期の場合などは標準報酬月額が高額になってしまうことがあります。そこで、通常の方法により算定した場合と年間平均により算定した場合の標準報酬月額に2等級以上の差が生じた場合は年間平均で算出した標準報酬月額とすることができます。
算定基礎届(定時決定)は年に一度、標準報酬月額が適正なものに改定を行う重要な機能があります。期日までに必ず提出するようにしましょう。
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