人事労務解説

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人事労務解説 2021.09.24

キャリアアップ助成金とは?② キャリアアップ計画書の作成方法と必要書類の解説

キャリアアップ助成金 後編
(後編です。前回まではこちらからお読みください。)

※キャリアアップ助成金とは?正社員化コースの要件について解説

前回はキャリアアップ助成金正社員化コースの概要と受給までの流れについてまとめました。有期から正規雇用への転換で1人当たり57万円が助成されますが、受給までには最短でも1年2ヶ月はかかります。
ここからは、キャリアアップ計画書の作成方法と受給申請時の添付書類について解説していきます。

4. キャリアアップ計画書の作成方法と注意点

助成金を受給するためにはまず、キャリアアップ計画を作成し、労働局長の認定を受けなければなりません。キャリアアップ計画とは、有期雇用労働者等のキャリアアップに向けた取り組みを計画的に進めるため、今後の大まかな取り組みをあらかじめ記載した計画書です。
具体的には、対象者・期間・目標・目標達成のための講じる措置・計画全体の流れ等を記載します。作成にあたっての注意点は下記の通りです。
対象者:計画書には個人名を記入する必要はありません。具体的に書きすぎると後々融通が利かなくなる恐れがあるため、雇用年数や部署、雇用形態といった大まかな対象者の記入で問題ありません。
期間:3年以上5年以内の範囲で定めます。
目標:対象者のうち何名程度の転換を実施するのか等を記載します。
目標達成のための講じる措置:知識・技能を習得させるための教育・研修制度や転換する際の試験や面談の実施など、転換・直接雇用を実現するためにどのような取り組みを行うのか、具体的な取り組みを記載します。尚、就業規則の転換制度に規定した試験や面談の記載と実施が必要です。
計画全体の流れ:まとめとして、計画全体の流れを記入します。
キャリアアップ計画は当初の予定を記載するものであるため、随時変更が可能です。その場合は変更後必ず管轄労働局に「キャリアアップ計画変更届」を提出しなければなりません。

5. 支給申請時に提出する必要書類と注意点

支給申請には期日があり、転換・直接雇用後6か月分の賃金を支給した翌日から起算して2か月以内に申請が必要です。
支給申請書と合わせて就業規則や労働条件通知書、賃金台帳等の添付が必要ですが、審査にあたり、それら添付書類と支給申請書に整合性が取れているか、かなり厳しいチェックが入ります。以下、添付書類の提出にあたっての注意点を解説します。
就業規則:転換制度が規定されている就業規則であるか?
労働条件通知書(雇用契約書):雇入れ時(転換・直接雇用前)と転換・直接雇用後が揃っているか?
賃金台帳:転換・直接雇用日の前後それぞれ6か月分が揃っているか、3%以上の賃金増額が確認できるか?
出勤簿:転換・直接雇用日の前後それぞれ6か月分が揃っているか、残業が発生している場合は管轄労働局に36協定届を提出しているか?

※関連:雇用契約書とは

支給申請期間

まとめ

支給申請にあたっての添付書類から分かる通り、支給審査には労働法令違反がないかまでチェックが入ります。
労務管理が不十分ですと支給要件を満たさないばかりか、労働法令違反を指摘されてしまいますので、日頃より適正な労務管理を行っていく必要があります。

『著者:社労士カワモリ』

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