雇用調整助成金とは、新型コロナウイルスの影響、経済上の理由で、休業または事業縮小となった会社に休業手当に使用した費用の一部を助成する制度です。新型コロナウイルス以前から雇用調整助成金制度はありましたが、特例措置として新型コロナウイルスによる休業、事業縮小に対しても適用となりました。
昭和50年に雇用調整助成金という制度ができました。近年での使用例は2008年に起きたリーマンショック、2011年に起きた東日本大震災で多くの企業がこの制度を活用しました。雇用調整助成金が無ければ40万~50万人が失業していたという研究結果もあります。新型コロナウイルス拡大により様々な企業が大打撃を受けていることもあり、特例として新型コロナウイルスによるものも雇用調整助成金の対象となっています。
雇用調整助成金の目的は経済変動等で経済上事業縮小した場合に労働者の雇用を維持することに対して補助をすることです。また、労働者の失業、労働者の雇用安定を維持するために雇用調整助成金という制度があります。近年、新型コロナウイルスで飲食業などが大打撃を受けています。飲食業で働く従業員の雇用安定を図るため会社として雇用調整助成金という制度を申請します。
新型コロナウイルス拡大により雇用調整助成金の要件も拡大しています。新型コロナウイルスに関わる特例措置として令和2年4月1日から令和3年6月30日までの期間を対象に特例措置を実施しています。
新型コロナウイルスによる特例は対象となる地域と期間が異なります。例えば東京都の場合、雇用調整助成金の対象期間が令和3年1月8日~令和3年6月30日ですが、神奈川県では令和3年1月8日~令和3年4月30日となっています。
最近ではまん延防止等重点措置に対しても雇用調整助成金制度が利用できるようになっています。
新型コロナウイルス感染症にかかる雇用調整助成金の特例措置の拡大 | |||
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雇用調整助成金 経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図るための休業手当に要した費用を助成する制度 | |||
特例以外の場合の雇用調整助成金 | 新型コロナウイルス感染症特例措置 | (参考)リーマンショック時 | |
現行 (一般的な場合) | 緊急対応期間 (4月1日~6月30日) 感染拡大防止のため、この期間中は全国で以下の特例措置を実施 | ||
経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主 | 新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主(全業種) | 新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主(全業種) | 経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主(全業種) |
生産指導要件 (3か月10%以上低下) | 生産指導要件緩和 (1か月10%以上低下) | 生産指導要件緩和 (1か月5%以上低下) | 生産指導要件緩和 (3か月5%以上低下) |
被保険者が対象 | 据置き | 雇用保険被保険者でない労働者の休業も助成金の対象に含める | 被保険者が対象 |
助成率 2/3(中小) 1/2(大企業) | 据置き | 4/5(中小) 2/3(大企業) (解雇等を行わない場合は9/10(中小)、3/4(大企業) | 4/5(中小) 2/3(大企業) (解雇等を行わない場合は9/10(中小)、3/4(大企業) |
計画届は事前提出 | 計画届事後提出を認める (1月24日~5月31日まで) | 計画届事後提出を認める (1月24日~6月30日まで) | やむを得ないと認められる場合は、事前に提出があったものとみなす |
1年のクーリング期間が必要 | クーリング期間の撤廃 | 同左 | クーリング期間の撤廃 |
6か月以上の被保険者期間が必要 | 被保険者期間要件の撤廃 | 同左 | 被保険者期間要件の撤廃 |
支給限度日数 1年100日、3年150日 | 同左 | 同左 + 上記対象期間 | 3年300日 |
①上記の拡充にあわせて、短時間一斉休業の要件緩和、残業相殺の停止、至急迅速化のため事務処理体制の強化、手続きの簡素化も行うこととする
②教育訓練が必要な被保険者について、教育訓練の内容に応じて、加算額を引き上げる措置を別途講じる
雇用調整助成金は労働者個人が申請するわけではなく、会社として申請をしなくてはいけません。新型コロナウイルスによる特例も追加され新型コロナウイルスによる休業補償も制度として拡大しています。
次のページからは雇用調整助成金の申請方法について解説していきます。
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