人事労務解説

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人事労務解説 2021.10.13

助成金の不正受給調査はこうなる!

助成金の不正受給調査はこうなる!

不正受給とは、故意に偽って助成金を受給することです。実際に、故意に偽って助成金を受給するだけではなく、故意に偽って助成金を受給しようと申請するだけでも不正受給と取り扱われます。
このページでは、助成金の不正受給と不正受給調査について解説していきます。

1. 助成金の不正受給とは

不正受給とは、もともと存在しなかった書類や、実態と異なる書類を作成して提出を行い、助成金の支給受けた場合や助成金を受けようした場合など、故意に偽って助成金を受給することです。
たとえ、故意でなくても、間違った申請で助成金を受給すれば不正受給と取り扱われます。

新型コロナウイルス感染症の影響により、事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、従業員の雇用維持を図るために、労使間の協定に基づき、雇用調整、すなわち休業を実施する事業主に対して、休業手当などの一部を助成する「雇用調整助成金」や「持続化給付金」の不正受給が発覚し、本来は受給できないはずの助成金を受給してしまうケースが後を絶たず、事業主が逮捕された報道も増加しています。

新型コロナウイルス感染症の収束がいまだ見えず、窮状を少しでも緩和すべく、企業や個人事業主の生活を守るという目的を優先した結果、審査が非常に甘いものになってしまい、故意に偽って助成金を受けようとする申請が相次いでしまいました。こうした反省を受けてか、「雇用調整助成金」の審査に関しては、「持続化給付金」に比べてより厳格な審査を行うことで、不正受給の数を減らしています。
ここで注意が必要なのは、助成金が実際に受給したかどうかは問われないという点です。

故意に偽って申請をするだけでも不正受給と取り扱われるので、安易な気持ちで助成金の手続きを行わないことが重要です。

※関連:雇用調整助成金とは?申請のやり方は?

2. 助成金の不正受給が発覚する理由

助成金を申請する書類の審査は、時間をかけて厳格に行われているため、助成金を故意に偽って申請しても、数多くの申請の中から見つけ出せるわけがないと、安易な考えで助成金を申請するのは避けた方がいいです。また、書類の審査以外にも、不正受給を明らかにする仕組みを整えています。
以下が不正受給が発覚する主な理由です。

① 職員が厳密な書類チェックを行っている
② 労働局の審査官や監査官が抜き打ち調査(訪問)を行っている
③ 従業員にヒアリング(直接アンケートや電話)している
④ メール内部告発ができる仕組みがある
⑤ 従業員からの内部告発
⑥ 別の助成金の申請書類との食い違い

助成金の申請に不正がないか、労働局の職員が抜き打ちで調査に来ることは往々にしてあります。出勤簿や給与明細などはもちろん、会社の解錠時間やメールの履歴に至るまで、あらゆる情報がチェックされ、特に令和2年以降はコロナ禍の特例を悪用した不正が多数報告されているため、調査の目はより厳しくなっています。少しでも矛盾した点があれば、厳しく追究されることは免れないでしょう。

また労働局では、不正受給に関する窓口を設けており、メールや郵送による情報提供を求めています。
近年はこうした窓口への通報も主な発覚理由のひとつになっていて、うちの従業員は誰も通報しないだろうと楽観的に考えるのは危険です。通報者は不正を行っている会社の従業員だけでなく、元社員や取引先などの場合もあり、不正受給をすれば、信頼を失い、従業員に信用されなくなれば今後の経営にも支障が出ることは避けられません。

助成金の不正受給が発覚する理由

※引用:厚生労働省HPより

まとめ

不正受給とは、故意に偽って助成金を受給することです。
また実際に、故意に偽って助成金を受給するだけではなく、故意に偽って助成金を受給しようと申請するだけでも不正受給と取り扱われますので、安易な気持ちで助成金の手続きを行わないことが重要です。
次のページからは、不正受給とならない為の気をつけるポイントとペナルティについて解説していきます。

『著者:社労士カワモリ』

※助成金の不正受給をしたら逮捕となるの?

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