(後編です。前回まではこちらからお読みください。)
前回まではみなし残業の概要、メリット、リスクについて解説しました。
みなし残業は所定労働時間働いていなくても所定労働時間分の給与を従業員は貰うことができます。
また、過労死ラインを超えないようにしなければいけません。
次からはみなし残業において会社が抑えるポイントを説明していきます。
みなし残業は残業時間を含めた労働時間をあらかじめ設定するので労働基準法違反にはなりません。
みなし残業労働時間制には3つあります。
① 事業場外みなし労働時間制
営業職や外で仕事する職業に多い制度になります。会社側が労働時間を把握するのが難しいため予め労働時間を設定するものです。
② 専門業務型裁量労働制
システムエンジニアなど専門的な職業の場合に採用されるものです。
③ 企業業務型裁量労働制
事業の運営に関する企画や立案、調査、分析などの専門的な職業の場合に採用されるものです。
②専門業務型裁量労働制と③企業業務型裁量労働制は専門的職業のため、専門的な知識、スキルが必要になります。会社側が仕事のやり方、時間の使い方に口出しすることが難しいため2種類のみなし労働時間制があります。
みなし残業で会社が抑えるポイントは5つあります。
① みなし労働時間設定を確認する
② 設定したみなし労働時間が時間外労働の上限を超えていないかどうか
③ 36協定を労働基準監督署に提出いるか
④ 就業規則を労働基準監督署に提出しているか
⑤ 労使協定を結んでいるか
みなし労働時間を設定して運用しても各従業員の実際に働いた労働時間や、健康管理はしていく必要があります。
また、みなし残業であっても深夜労働(22時~5時)した際は別途残業代を支給しなければいけません。
※関連:36協定(三六協定・サブロク協定)とは?① 必要なタイミングを簡単に解説
みなし労働時間制は採用できる職業が限られています。労働時間を会社側が把握しきれない職業、専門的な職業が導入していることが多いです。
みなし労働時間制は従業員が自由に働くことができる分、過労死になるリスクも高まるので過労死防止のためにも従業員に対して健康管理をしっかりとしていきましょう。
働き方改革が進むにつれて従業員の働き方が重視されています。働き方が自由でもみなし残業のように働きすぎになってしまうことがあるので注意しましょう。