人事・労務ともに経営資源（ヒト・モノ・カネ・情報）のうちヒトに関する業務を行う部署ですが、会社内での役割は明確な違いがあります。
人事の仕事は従業員の採用活動から研修、評価制度の構築、配属先の決定など、従業員のキャリア形成に深く関わる部署といえます。また人事は会社の経営方針などによって人員計画を変更する場合があるなど企業の経営とも深く繋がりがあるといえます。一方で労務の仕事は給与計算や社会保険や雇用保険の手続き、労働法を遵守した契約の管理など、法律に関して深く理解している必要があります。
人事の仕事内容として主なものは採用活動、社内研修の運営、人事評価制度の構築、配属先の決定などがあります。
採用活動には学生を対象とした新卒採用と一定の経験のある社会人を対象にした中途採用があります。新卒採用は長期スパンで計画を立て採用活動を行っていきます。中途採用は欠員が生じた場合や一定の経験や資格を持つスペシャリストを採用したい場合などに行われます。
従業員への研修の企画や運営なども人事が行います。新卒社員を対象にしたビジネスマナー研修や管理職を対象にした研修など社員の成長過程に応じた研修を企画し、運営しています。
人事評価には業績評価と職務行動評価に分けられます。業績評価とは担当する職務の成果そのものの評価であり、職務行動評価は成果までの過程を評価するプロセス評価のことです。人事はこれらの評価の方法や基準など人事評価制度を設計します。
会社の人員計画も則り従業員の配属先を決定することも人事が行う仕事です。新入社員の入社時の配属や必要に応じて部署の異動や勤務地が変更となる転勤、社外への出向などがあります。勤務地の変更があるような場合は従業員の個人的な事情なども考慮して慎重に行う必要があります。
ここまでに人事と労務の違いと人事部門の仕事について、解説してきました。人事、労務ともに企業内のヒトに関する部署ですが、求められる役割には大きな違いがありました。
次のページからは労務の仕事と人事・労務部門に求められるスキルや資格について解説していきます。
