人事労務解説

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人事労務解説 2021.10.11

休業手当とは?目的や休業補償との違いは?

休業手当とは?目的や休業補償との違いは?

休業手当とは、会社の都合で従業員を休ませる場合に、会社がその従業員に対して支払わなければならない手当のことです。労働者の最低限の生活を保障するための制度であり、すべての従業員が対象になります。本ページでは休業手当の概要や目的、休業補償との違いについて解説していきます。

1. 休業手当とは

休業手当とは、会社の都合で従業員を休ませる場合に、会社がその従業員に対して支払わなければならない手当のことです。
労働基準法第26条では、次のように定められています。

◆労働基準法第26条◆
 使用者の責めに帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は休業期間中当該労働者に
 その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。

「使用者の責めに帰すべき事由」とは、会社都合で従業員を休ませる場合で、事業主の故意や過失だけでなく、経営上や管理上の要因に起因するものを含むとされています。
【使用者の責めに帰すべき事由による休業の例】
 ・生産調整のための一定期間の休業
 ・資材や資金の不足など、経営不振による休業
 ・会社の設備や工場の機械の不備・欠陥・故障による休業
 ・監督官庁の是正勧告による操業停止

一方、天災事変のような不可抗力による休業で、経営者が最大の努力を尽くしても企業努力だけでは回避できないような場合は、休業手当の支払い義務は生じないとされています。

休業手当の支払い義務がある場合、会社は平均賃金の60%以上を従業員に対して支払う必要があります。その場合は、雇用の形態を問わず、正社員・パート・アルバイト・契約社員などすべての労働者に対して支給しなければなりません。

使用者の責めに帰すべき事由

2. 休業手当の目的

休業手当は、会社が従業員に対して最低限の生活を保障することを目的としています。
従業員は会社での勤務を前提としており、収入もその会社からの賃金に頼っているため、会社の都合で休業させられたのに賃金が支払われないとなると、生活に支障が生じてしまいます。
休業手当は、そのような事態を避けるため、法律によって従業員の一定の収入を保障するよう規定したものなのです。

3. 休業補償との違いは?

休業手当とよく似た言葉に「休業補償」があります。
休業補償は、業務によって負った怪我や病気などで働けなくなった労働者に、平均賃金の8割が労災保険から支払われるという制度です。
休業手当が会社から支払われるものであるのに対し、休業補償は労働者災害補償保険法に基づく保険給付になります。また、休業手当は給与所得とみなされ所得税の対象となりますが、休業補償は非課税である点も大きな違いです。
どちらも労働基準法に定められた労働者を守るための制度ですが、支給理由や支給元が異なる全く別の制度ですので注意が必要です。

まとめ

会社が従業員を休業させる場合、その休業理由が会社の都合であれば休業手当を支給しなければなりません。休業手当により従業員の最低限の生活が保障され、従業員の雇用も守られますので、休業の際は適切な支給を行いましょう。
次のページからは、このコロナ禍での休業手当の支給条件と、実際に支給する際の計算方法について解説していきます。

『著者:社労士カワモリ』

休業手当とは?コロナ禍の支給条件と計算方法を解説

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