雇用保険とは、労働者が失業したときや育児や介護で休業した時に給付を行う労働者のための保険です。雇用調整助成金などの助成金の支給も雇用保険から行われます。パートやアルバイトであっても週20時間以上働く場合は加入の必要があります。本ページでは雇用保険の概要を紹介していきます。
雇用保険とは、労働者が失業した場合や、高齢や育児、介護などで雇用の継続が困難となる場合、労働者が職業に関する教育訓練を受けたときなどに必要な給付を行い、労働者の生活や雇用の安定を図ることを主な目的とした保険です。
また付帯的な業務として雇用保険二事業と呼ばれる雇用安定事業と能力開発事業も行われており、事業主に向けた助成金や事業主が行う教育訓練への支援なども雇用保険の事業となります。
雇用保険の対象となるのは雇用保険の適用事業所に雇用されている雇用保険の適用除外とならない労働者です。以下で適用事業所と適用除外の要件を確認していきます。
原則として、労働者を1人でも雇用する事業所が、雇用保険が強制的に適用される強制適用事業となります。例外的に常時5人未満の労働者を雇用する個人経営の農林業、畜産業、養蚕業又は船員が雇用される事業を除いた水産業は雇用保険の加入が任意の暫定任意適用事業となります。
適用事業所に該当する場合は事業所を設置した翌日から10日以内に適用事業所設置届を管轄のハローワークに提出する必要があります。
適用事業所に雇用される労働者であっても全ての人が雇用保険の被保険者となるわけではありません。以下の①~⑥に該当する場合は適用除外とされ、雇用保険の被保険者とはなりません。
①1週間の所定労働時間が20時間未満の者
②同一の事業主の適用事業に継続して31日以上雇用されることが見込まれない者
③季節的に雇用される者であって、次のいずれかに該当する者
‐4か月以内の期間を定めて雇用される者
‐1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満である者
④学生又は生徒である者
⑤漁船に乗り組むために雇用される船員
⑥公務員などで雇用保険の給付内容を超える給付が受けられる者
適用除外に該当しない場合でも、その者が労働者に該当するかのどうかの判断が必要な場合があります。例えば法人の代表取締役であれば労働者となる余地はありませんが、取締役などで、同時に営業部長や支店長など労働者性の強い業務を兼務している場合は労働者と認められます。労働者性の判断にあたって問題となりやすいものは以下のようになります。
①法人の役員
原則として被保険者とはなりません。ただし取締役などで会社の部長や支店長など労働者的性格の強く、雇用関係があると認められる場合は被保険者となります。代表取締役など代表権を有する場合は労働者となる余地がないため雇用保険には加入できません。
②短時間就労者(パートタイマー)
31日以上の雇用見込みがあり、週の所定労働時間が20時間以上の場合は被保険者となります。
③家事使用人
家事使用人は、通常個人の家庭に使用される者は被保険者となりません。ただし、家事代行業のような家事サービスを行う適用事業所に雇用されるような場合は被保険者となります。
④同居の親族
原則として被保険者とはなりません。事業主の指揮命令を受け、就業の実態や賃金が他の従業員と同様で、取締役などでない場合は例外的に被保険者となります。
⑤2以上の適用事業所に雇用される者
収入の多い適用事業所でのみ被保険者となります。
⑥長期欠勤者
賃金が支払われない場合でも雇用関係が存続する限り被保険者となります。
雇用保険は適用除外に該当する場合を除き、必ず加入をする必要があります。そのため本来はメリットやデメリットを判断して加入するしないを選択できるものではありませんが、雇用保険に加入することで、被保険者が失業をしたときに給付を受けることができることや事業主が助成金を受けることができるなど多くのメリットがあります。
雇用保険は、労働者が失業した場合など生活の安定が脅かされる不足の事態に支給が行われます。雇い入れた労働者が適用除外に該当する場合以外は資格取得の届出を行いましょう。
次のページからは雇用保険の具体的な給付方法について解説していきます。
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