(後編です。前回まではこちらからお読みください。)
前回は高年齢雇用継続給付の概要と支給条件、支給額についてまとめました。高年齢雇用継続給付の支給条件を満たす場合、60歳以後の各月の支払われた賃金の原則15%が、被保険者が65歳に達する月まで支給されます。
ここからは、高年齢雇用継続給付の申請方法と注意点について解説していきます
申請は事業所の所在地を管轄するハローワークに、最初に支給を受けようとする支給対象月(支給条件を満たし、給付金の支給対象となった月)の初日から起算して4か月以内に申請します。
申請書には被保険者のマイナンバー、被保険者番号、支給対象月に支払われた賃金、払渡希望金融機関(給付金の受け取りを希望する被保険者本人の金融機関の口座情報)等を記載します。ここでいう支給対象月に支払われた賃金とは、「実際に支払われた賃金額」のことを指し、通勤手当等の各種手当も含みます。尚、通勤手当が数か月分まとめて支払われた場合は、按分のうえ支払われた月以後の賃金に計上します。
また、申請時に下記書類の添付が必要です。
1.雇用保険被保険者六十歳到達時等賃金証明書
60歳に到達する前6か月間の賃金を記載します。
2.申請書と賃金証明書の記載内容を確認できる書類(賃金台帳、出勤簿またはタイムカード)
2回目以降の申請は原則として2か月に一度、ハローワークから指定された月に支給申請書を提出します。
支給申請を行う前に、以下2点注意が必要です。
再就職手当と高年齢再就職給付金は併給できないため、どちらの給付金を希望するか慎重に選択する必要があります。
特別支給の老齢厚生年金(在職老齢年金)の支給を受けながら、高年齢雇用継続給付を受けている期間については、高年齢雇用継続給付の給付金に応じ、年金の一部が支給停止される場合があります。
※老齢厚生年金は、厚生年金保険の支給開始が65歳に引き上げられました。「特別支給の老齢厚生年金」とは、支給要件を満たしてる場合60歳から64歳までの老齢厚生年金が特別に支給される制度です。
給付金との調整により支給停止される年金額は、最高で賃金(標準報酬月額)の6%に当たる額ですが、具体的な金額は年金事務所への確認をされるのが確実です。
少子高齢化で労働人口が減少していく中、経験豊富で労働意欲が高い高年齢者の労働力は企業にとって貴重です。高年齢雇用継続給付の制度を活用することで、高年齢者の雇用継続促進に役立ててください。