人事労務解説

人事労務解説

人事労務解説 2021.05.26

一人親方労災保険とは?加入のメリットや条件を簡単に解説! 【2021年度版|最新情報】

一人親方労災保険とは、①会社に所属していない②労働者を雇わず仕事を行う方を対象に加入できる労災保険のことを言います。一人親方は会社に所属していないため会社で加入している労災保険を使うことができません。本ページでは一人親方労災保険に関して説明していきます。

1.一人親方労災保険とは

労災保険は労働者に対して保障される保険ですが、労働者でない方も労働者と同じように保障される仕組みになっています。一人親方労災保険は建設業、運送業、個人タクシー、リサイクル回収業など加入できる仕事内容に限りがあります。

2.一人親方の労災保険の基本

一人親方労災保険は「特別加入制度」という制度により加入することができます。
一人親方労災保険は加入者自身が手続きを行い加入することができるわけではなく、労働保険事務組合を通して加入をしなくてはなりません。
また、特定業務に一定期間従事すると特殊健康診断というものを受けなくてはいけません。
特殊健康診断とは安全衛生法により規定されており一定期間特定の業務に従事したことがある場合、加入時に特殊健康診断を必ず受ける必要があります。

表:特殊健康診断一覧表

業務の種類従事した期間(通算)必要な健康診断
粉じん作業3年以上じん肺健康診断
振動工具1年以上
※実施する工具により従事期間の変動あり
振動障害健康診断
鉛業務6か月以上鉛中毒健康診断
有期溶剤業務6か月以上有機溶剤中毒健康診断
無料相談受付中!
プロの専門家がお悩みをお伺いします。お気軽にご相談ください。
無料相談はこちら

3.労働保険事務組合の目的と背景

労働保険事務組合の目的として①労災保険雇用保険加入手続きを行う②保険料納付手続きを行う③事業主の事務負担軽減です。

労災保険雇用保険を手続きすると労働保険料を国に納めなくてはいけないので、その際に発生する手続き等が複雑になっています。労働保険事務組合に委託することで手続きを全て行うので事業主の負担軽減になります。

4.労働保険事務組合へ委託できる事業主は

特別加入制度は労働保険事務組合を通して加入することができます。
特別加入制度には2種類あり、一人親方労災保険中小企業主労災保険があります。
中小企業主労災保険は会社の社長、役員等が加入できる労災保険となっています。
「一人親方労災保険とは」で述べたように加入できる仕事内容に限りがあるので一人親方に該当しない方は中小企業主労災保険に加入となります。中小企業主労災保険には一人親方労災保険のように仕事内容によって加入できないことはありません。

5.一人親方労災保険加入のメリット

一人親方労災保険加入のメリットは①労災保険に加入できること②労働保険事務組合は国から委託されている団体なので安心③建設業の場合、一人親方労災保険加入が必須④ケガをした際、ケガに対しての保障があるです。
民間の保険でも労災保険と同じような保障をしてくれますが、建設業の場合、元請けという工事を直接請け負った会社から一人親方労災保険未加入だと現場に入れさせないことが多いです。

6.どんな業界で取得されているか

一人親方労災保険は様々な業界で取得されています。厚生労働省の調べによると一人親方労災保険加入の実態調査で「一人親方労災保険に加入している」と回答した人が81.9%に及びました。このことから建設業では一人親方労災保険に加入している人が多いと分かります。背景として建設業は業務上ケガが多いからです。
他にも個人タクシー、運送業、林業、リサイクル回収業、医薬品配置販売で一人親方労災保険に加入することができます。

7.まとめ

一人親方労災保険に加入すると労働者と同じように労災保険の補償を受けることができます。
一人親方労災保険に加入していないと労災の補償が受けられません。ケガをした場合、治療費など自己負担しなければなりません。また、身体に障害が残っても補償がないのでケガをした場合のリスクが大きいことが分かります。
労災保険に加入していない方は万が一の備えで一人親方労災保険に加入しましょう。

『著者:社労士カワモリ』

次の記事へ→

労務サポートちゃんねる

無料相談受付中!
プロの専門家がお悩みをお伺いします。お気軽にご相談ください。
無料相談はこちら



関連記事

Copyright gs-official All Right Reserved.