(後編です。前回まではこちらからお読みください。)
雇用保険とは?① パートやアルバイトでも入ったほうが良い?【2021年度版|最新情報】
前回までは雇用保険の目的や概要、対象となる労働者についてまとめてきました。
雇用保険の給付は基本手当(失業手当)が一般的ですが、その他にも労働者の不測の事態に備えた豊富な保険があります。
ここからは、雇用保険の具体的な給付と雇用保険加入後の注意点についてまとめていきます。
雇用保険では以下のような給付があります。
(1)求職者給付
求職者給付は、労働者が失業した場合に労働者の生活の安定をはかるために支給が行われます。失業者が次の仕事を見つけるまでの間の生活を保障する機能があります。一般被保険者が失業した場合に給付される基本手当(失業手当)がその中心です。
(2)就職促進給付
就職促進給付は、労働者が失業した場合に再就職をすることを援助・促進することを目的としています。失業したあと早期に再就職した場合に行われる再就職手当などがあります。
(3)教育訓練給付
教育訓練給付は労働者の主体的な能力開発を促進するために、労働者が厚生労働大臣の指定する教育訓練を受けるときに給付が行われます。
(4)雇用継続給付
雇用継続給付は、労働者が高齢になったときや育児、介護などによる休業の取得により賃金が減額となる場合や支給されないという雇用の継続が困難となる事由が生じたときに雇用の安定をはかるために支給されます。
(1)雇用安定事業
休業や出向などで従業員の雇用を維持する事業主に対して支給される雇用調整助成金などが代表的な支給です。
(2)能力開発事業
公共職業能力開発施設や職業能力開発総合大学校の設置・運営やこれらの施設を運営する都道府県に対する経費の補助等が行われています。
雇用保険の加入要件を満たす労働者を雇用した場合、入社日の属する月の翌月10日までに資格取得届を事業所の所在地を管轄するハローワークに届け出る必要があります。
また、雇用保険に加入すると雇用保険料が発生します。雇用保険に加入する労働者に給与を支払う都度、労働者の負担する料率をかけて給与から控除します。事業主は年に1度労働保険の年度更新の際に労災保険料と合わせて雇用保険料を清算する必要があります。
雇用保険は不測の事態が発生したときに労働者の生活を支える重要な役割があります。また助成金の支給を受ける要件となることもあり、事業主にとっても恩恵があります。雇い入れた従業員が加入要件を満たしている場合は正しく手続きをするようにしましょう。