人事労務解説

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人事労務解説 2021.08.19

解雇とは 認められるケース認められないケースを解説

解雇とは

解雇とは、会社側が労働契約を一方的に解約することをいいます。従業員の適格性や非違行為を理由に行う普通解雇、懲戒解雇と会社の経営上の都合により行う整理解雇があります。解雇は慎重に行う必要があり、試用期間中の解雇でも同様です。
このページでは解雇の種類、条件について解説していきます。

1. 解雇とは

解雇とは、会社が雇用契約を将来に向かって一方的に解約することをいいます。解雇は普通解雇・懲戒解雇・整理解雇に分類することができます。
普通解雇は従業員の健康状態や適格性の問題で雇用契約上の労務の提供ができないときに行われます。懲戒解雇とは従業員の行為に対して懲戒処分として行われる解雇で就業規則などの規定を根拠に行われます。整理解雇とは経営不振などを理由に行われる人員整理のための解雇のことで従業員に落ち度のない解雇です。

2. 解雇の種類

前述の通り、解雇の種類には普通解雇、懲戒解雇、整理解雇の3種類があります。ここではそれぞれの概要について解説していきます。
 
【普通解雇】
普通解雇は労働者の能力不足や私傷病、適格性などを理由に雇用契約で約束された労務の提供ができないときに行われます。一般的に就業規則に解雇の事由の定めがあります。厚生労働省が公開しているモデル就業規則では解雇の事由は以下のようになっています。
 


 
解雇の事由は労働基準法で就業規則の絶対的記載事項とされています。普通解雇の有効性を判断するときの大きな判断材料となりますが、解雇の事由に該当すれば必ず有効な解雇となるわけではありません。解雇権濫用法理により、無効になる場合もあります。
 
懲戒解雇】
懲戒解雇とは懲戒処分として行われる解雇です。就業規則などの懲戒の規定を根拠に行われます。懲戒解雇は懲戒処分としての性質解雇としての性質があり、双方の法規制を受けます。また労働者に対する不利益も大きいことから解雇濫用法理の適用上、普通解雇よりも厳格な規制を受けます。懲戒処分であっても、即時解雇をするためには、労基署長の認定を受ける必要があります。この認定を受けられない場合は、少なくとも30日前の予告または30日分以上の平均賃金の支払いが必要になります。
厚生労働省のモデル就業規則では懲戒の規定は以下のようになります。
 

〈厚生労働省労働基準局監督課 モデル就業規則より引用〉

 
【整理解雇】
整理解雇とは会社が経営上の理由として行う解雇をいいます。普通解雇や懲戒解雇と異なり、従業員に落ち度がなく行われる解雇です。整理解雇は次の4要素(4要件)により妥当性が判断されます。
 
①人員削減の必要性
人員削減の措置が会社経営上必要であるか、会社の合理的な運営上やむを得ない措置と認められるかが問われます。
②解雇回避努力義務
解雇を回避するためにどのような措置をしたかが問われます。解雇回避措置としては、新規採用の停止、役員報酬の不支給・減額、賞与の不支給・減額、時間外労働・休日労働の削減、配置転換、出向、転籍、希望退職者の募集などがあります。
③人選基準の合理性
人選基準が客観的かつ具体的であり、基準自体と基準の運用が適正であることが必要になります。
④手続きの妥当性
会社は整理解雇の必要性、時期、規模、方法などについて労働者に対して説明や協議を行う必要があります。

3. 解雇が認められるケース・認められないケース

解雇が有効と認められるためには客観的に合理的な理由社会通念上相当であることが必要です。客観的に合理的な理由があるというためには、能力不足や勤務態度などの解雇の理由が業務の遂行を不能にしている場合や社内秩序を激しく乱してなど解雇を行うほど重大な理由の存在が必要とされています。社会通念上相当であるというためには、対象となる労働者への過去の指導歴や他の労働者との処分の均衡、労働者の行為、使用者の対応などを照らして解雇することがやむを得ない状況である必要があります。
 解雇に関して争いに発展した場合、解雇が有効であるかの判断は最終的には裁判所で行われます。解雇を行うにあたっては専門家に相談のうえ慎重に行う必要があります。

労働基準法では解雇をすることができない次の①及び②の解雇制限期間の定めがあります。
 
①業務上負傷し、または疾病にかかり療養のために休業する期間およびその後30日間

 
②産前産後休業期間およびその後30日間

→【2021年版】育児休業給付金とは?貰える条件は?

この期間については、懲戒事由に該当する行為を行ったとしても解雇をすることはできません。

まとめ

ここまでは解雇の概要、解雇を行うための要件について解説してきました。解雇は普通解雇・懲戒解雇・整理解雇に分類できます。また労働基準法で定める解雇制限期間については解雇を行うことができません。次のページからは試用期間中の解雇、解雇を行う手順について解説していきます。

『著者:社労士カワモリ』

解雇とは 試用期間中の解雇はあり?なし?

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