(後編です。前回まではこちらからお読みください。)
前回までは変形労働時間制の概要や導入しやすい企業、変形労働時間制のメリット・デメリットを説明しました。変形労働時間制は就業規則の変更、対象となる従業員の労使協定、労働基準監督署への届け出が必要になります。
次からは変形労働時間制の中でも多い変形労働時間制の一年単位の届け出方法、変形労働制の届け出時の注意点など説明していきます。
変形労働時間制の一年単位の届け出方法は
① 変形労働時間制の対象となる労働者を決める
変形労働時間制を採用する場合、労使協定を結ぶ必要があるためです。
② 対象期間を決める
一年単位の変形労働時間制は1か月を超えて1年以内の期間と決められているため、変形労働時間制にする期間を決めていきます。
③ 各日、各週、の労働日、労働時間を決める
対象期間中の1週間あたりの労働時間の平均が40時間を超えないように決めることが必要になります。
対象期間全ての各日、各週の労働時間を定めなければいけません。
④ 就業規則に記載して労働基準監督署に届け出をする
就業規則の内容に変形労働時間制で決めた始業・終業時間等を記載した上で労働基準監督署に提出します。
⑤ 「1年単位の変形労働時間制に関する協定届」を労働基準監督署に提出する
※引用:厚生労働省HPより
変形労働時間制を採用するにあたり所定労働時間の上限設定と労働者への通知が必要になります。
変形労働時間制の対象となる労働者は労働時間が異なるためシフトを作成し、労働基準監督署に提出しなければいけないので勤怠管理の整備は重要になります。また、変形労働時間制の決定後変更することができません。
近年、働き方改革により変形労働時間制を採用する企業が増えてきています。また、勤怠管理システムが発達しクラウド勤怠などタイムカード以外の方法で勤怠管理をすることが可能です。変形労働時間制を採用する場合は勤怠管理が重要になっていきます。就業規則、労使協定に記載しないまま変形労働時間制を利用した場合、労働基準法により30万円以下の罰金が課せられる場合があるので注意が必要になります。
変形労働時間制を採用検討している場合は必ず就業規則の見直しや労使協定の見直ししてみましょう。