人事労務解説

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人事労務解説 2021.09.01

【令和3年版】働き方改革に使える助成金を解説!①

【令和3年版】働き方改革に使える助成金を解説!①

働き方改革とは、雇用形態による待遇の不合理な格差や長時間労働の是正などにより、働く人、一人ひとりが健やかに働けるように、労働環境を見直し、働きやすい環境を作り、生産性を向上させようという取り組みのことです。これは大企業のみではなく、中小企業を含む全ての企業で対応が必要です。
このページでは、働き方改革に使える助成金について解説していきます。

1. 働き方改革とは

働き方改革とは、働く人、一人ひとりが個々の事情に応じて多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く人々がより良い将来の展望をもてる働き方を実現する関連法案の総称です。
働き方改革を実現に向けて推進するため、長時間労働の常態化やそれに起因する過労死、非正規労働者に対する不合理な待遇差など、働き方の問題に伴う弊害は昨今至る所で浮き彫りとなっており、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保のための措置が施行されています。
政府は、働き方改革の実現に向けて『賃金などの処遇の改善』、『場所や時間などの制約の克服』、『キャリアの構築』という3つの改革のための課題をあげて、対応策をまとめた2027年までのロードマップも作成しています。
また、現在日本が直面している『少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少』や『働く人々のニーズの多様化』などの課題に対応するために、労働力だけに頼らない生産性向上とともに、就業の拡大や本人の意欲・能力を大いに発揮できる環境をつくることが必要不可欠です。
ただ、すでに企業の常態化しているやり方を変えることは、どの企業においても容易なことではないので、そのために、実情として煩わしさばかりが先行し、法令の基準を満たすために形だけの取り組みが行われる例も少なくなく、働き方改革は、目的を正しく理解し適切な取り組みを行うことで、企業の労働環境の改善や労務問題の解決に活きる有効な手立てとなり得ます。
時間やコストをかけて取り組むのであれば、働き方改革の必要性を正しく知り、形だけではない、働き方改革の実現を目指すのが有効です。

2. 働き方改革で使える助成金はどんなの?

働き方改革に対する企業の意識調査によると中小企業と大企業の意識には大きな差があることが明らかになり、その最たる理由として、テレワークに必要な機器やツールの導入などに必要な資金が乏しいことが挙げられています。
厚生労働省は、企業の負担を軽減し、労働環境の整備を推進するために各種助成金を設けています。
2020年4月1日から、中小企業には働き方改革の施策の一つである『時間外労働の上限規制』が適用されたため、働き方改革推進支援助成金に、新たなコースとして『労働時間短縮・年休促進支援コース』が設けられました。以下の『成果目標』から一つ以上を選択のうえ取り組みを実施し、その達成状況に応じて助成金が給付される内容になっています。

① 全ての対象事業場において、令和3年度又は令和4年度内において有効な36協定について、時間外・休日労働時間数を縮減し、月60時間以下、又は月60時間を超え月80時間以下に上限を設定し、所轄労働基準監督署へ届出を行うこと
② 全ての対象事業場において、特別休暇(病気休暇、教育訓練休暇、ボランティア休暇、新型コロナウイルス感染症対応のための休暇、不妊治療のための休暇)の規定をいずれか1つ以上を新たに導入すること
③ 全ての対象事業場において、時間単位の年次有給休暇の規定を新たに導入すること

この成果目標は、いずれも対象となるすべての事業場(営業所など)において達成させる必要があります。
上記の成果目標に加えて、対象事業場で指定する労働者の時間当たりの賃金額の引上げを3%以上行うことを成果目標に加えることができます。

働き方改革で使える助成金

※引用:厚生労働省より

3. 変形労働時間制のメリット・デメリット

取組の実施に要した経費の一部を、成果目標の達成状況に応じて支給します。
以下のいずれか低い方の額が助成率となります。
① 成果目標1から3の上限額および賃金加算額の合計額
② 対象経費の合計額×補助率3/4

ただし、助成額には上限がありますので、注意が必要です。
受給の上限額は、前章で解説した『成果目標』の①~③についてそれぞれ設定されています。
また、経費が上限額を超えると『上限額=支給額』となります。

・成果目標① 時間外・休日労働時間数を削減

事業実施前の時間数
月80時間超月60時間超
事業実施後の時間数月60時間以下100万円50万円
月60時間超80時間以下50万円支給対象外

 

・成果目標② 新規特別休暇の導入
上限額50万円

・成果目標③ 時間単位の有給休暇制度
上限額50万円

また、複数の成果目標を取り組みし達成した場合には、上限もプラスした金額となります。

まとめ

働き方改革とは、個々の事情に応じて多様な働き方を選択できる社会を実現することです。
また、その実現を推進するために要した費用の一部に対して働き方改革推進支援助成金が設けられています。
次のページからは、働き方改革推進支援助成金の申請の流れと支給対象の取り組みについて解説していきます。

『著者:社労士カワモリ』

※【令和3年版】働き方改革に使える助成金を解説!②

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