人事労務解説

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人事労務解説 2021.09.13

雇用契約書の書き方を解説①

雇用契約書の書き方を解説①
雇用契約書とは、会社側と従業員の双方で、労働条件を明らかにするために交わす契約書のことです。
雇用された側と雇用する側で認識の違いが生じる可能性もあるため、書面で雇用条件を記載して取り交わすことが有効です。
このページでは、雇用契約書の書き方について解説していきます。

1. 雇用契約書とは

雇用契約書は、会社側と従業員の間で交わされる書面が雇用契約書です。
雇用契約に双方が合意したことの証明として取り交わされるもので、勤務時間、給与、休日など細かい労働条件について書かれており、それぞれが署名・記名捺印し、保管します。
雇用契約書は法律上、書面での交付が義務付けられていないため、口頭での契約も可能ですが、法的にはできる限り書面により確認することが求められており、認識の違いが生じて『言った、言わない』などの争いや雇用後の労働条件のトラブルを避けるため、多くの企業が書面での雇用契約書を締結するのが一般的です。
また、雇用契約書は雇用形態に限らず、正社員、パートタイマー、アルバイトなどの採用の場合でも必要な書類となるのでご注意ください。

雇用契約書サンプル

※引用:厚生労働省HPより

2. 労働条件通知書との違いは?

『労働条件通知書』とは、会社側から従業員に労働条件を通知する書類です。
会社側と従業員の間で労働条件を明らかにするものという点や、記載事項はほとんど『雇用契約書』と変わりませんが、『労働条件通知書』は、労働基準法に規定されている書類ですので、この通知をしないと法律違反となり30万円以下の罰則の対象になります。
一般的な雇用契約書は、労働条件に関しても記載されていますので『雇用契約書』と『労働条件通知書』の違いがよくわからないと言われるのはこの点からではないでしょうか。
また、労働条件通知書と雇用契約書を一体にして『雇用契約書兼労働条件通知書』とする方法もあります。
『雇用契約書』は、会社側と従業員の双方で取り交わす契約書。
『労働条件通知書』は、企業側が一方的に通知する目的で交付する書類。
一方的な通知では、雇用された側と雇用する側で認識の違いが生じる可能性もあるため、トラブルを避けるためにも、労働条件通知書だけでなく雇用契約書を作成して取り交わすことが有効になります。
通知方法については2019年4月より、本人の希望があり、書面で印刷できる形式であれば電子メール、SNSでの通知も認められています。

労働条件通知書サンプル

※引用:厚生労働省HPより

3. 雇用契約書の書き方

雇用契約書を作成する際は、記載すべき事項をしっかりと網羅することが大切です。
特に、労働条件通知書を作成する際は、労働基準法施行規則で義務付けられている絶対的記載事項を、必ず記載する必要があります。また、必ずしも記載する必要はないとされていますが、トラブルを避けるためにも記載しておいたほうがよい相対的明示事項もあります。
書面で明示することが義務付けられている絶対的記載事項は以下の『14項目』です。
(1)労働契約の期間
(2)就業の場所
(3)従事する業務の内容
(4)始業時刻
(5)終業時刻
(6)所定労働時間を超える労働の有無
(7)交替制勤務をさせる場合は交替期日あるいは交替順序等に関する事項
(8)休憩時間
(9)休日
(10)休暇
(11)賃金の決定・計算方法
(12)賃金の支払方法
(13)賃金の締切り・支払の時期に関する事項
(14)退職に関する事項 ※解雇事由を含む

義務ではないが、記載しておいた方がよい相対的事項は以下の『8項目』です。
(1)賞与や各種手当
(2)退職手当
(3)労働者の費用負担が発生するもの
(4)安全衛生
(5)職業訓練
(6)災害補償・業務外の傷病補助
(7)表彰・制裁
(8)休職に関する事項

まとめ

雇用契約書とは、会社側と従業員の双方で、労働条件を明らかにするために交わす契約書のことです。
作成する際は、労働基準法施行規則で義務付けられている絶対的記載事項を、必ず記載する必要があるので注意してください。
次のページからは、パート社員の雇用契約書について解説していきます。

『著者:社労士カワモリ』

雇用契約書の書き方を解説②

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