人事労務解説

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人事労務解説 2021.09.17

こんなこともパワハラに?気をつけたい事例を紹介

こんなこともパワハラに?気をつけたい事例を紹介

パワハラ(パワーハラスメント)とは、職場内での優越的な立場から業務上の範囲を超えて、身体的・精神的に労働者に苦痛を与えることや就業環境を悪化させることをいいます。
このページでは職場内のパワハラについてパワハラ防止法を中心に解説していきます。

1. パワハラとは?

パワハラ(パワーハラスメント)とは、役職などの職務上の地位や、人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務上必要な範囲を超えて、精神的・身体的に苦痛を与えることや職場環境を悪化させることをいいます。

2. パワハラ防止法

2016年に行われた調査では過去3年以内にパワハラを受けたことがあると回答した割合が32.5%と高い割合となっていました。
社会問題となっているパワハラを防止するために事業主が行うものとされる措置義務が、労働施策総合推進法(パワハラ防止法)に立法化されました。このパワハラ防止法(労働施策総合推進法)は大企業に2020年4月、中小企業は2022年4月施行となっています。

大企業と中小企業の定義

大企業と中小企業の定義

・パワハラ防止法に定められた事業主の雇用管理上の措置
事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、その雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者から相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他雇用管理上必要な措置を講じなければならない。事業主は、労働者が相談したこと等を理由として不利益な取扱いをしてはならないことが定められました。

パワハラ防止法に定められたパワハラの定義とは
①優越的な関係を背景とした言動であって
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③労働者の就業環境が害されるもの

上記、3要素のすべて満たすものとされています。

3.6種類のパワハラとパワハラ事例

パワハラは以下の6種類の類型に区分されています。

①身体的な攻撃
【該当するとされる例】
・意に沿わない労働者に対して殴る蹴るなどの暴行を行う
【該当しないとされる例】
・誤って身体がぶつかる

②精神的な攻撃
【該当するとされる例】
・人格を否定するような言葉や長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行う
・他の労働者の前で大声で威圧的な叱責を繰り返し行う
【該当しないとされる例】
・遅刻などをした労働者に対して何度か注意をしても改善がない場合に一定程度強く注意をすること。
・重大な問題行動を行った労働者に対して、一定程度強く注意をすること。

③人間関係からの引き離し
【該当するとされる例】
・意に沿わない労働者の仕事を外し、別室に隔離することや自宅研修を命じる
・一人の労働者に対して、集団で無視をして職場で孤立させる
【該当しないとされる例】
・新規採用した労働者を育成するため、別室で研修等の教育を実施すること
懲戒処分を受けた労働者に対し、通常の業務に復帰させるにあたって、一時的に別室で研修を受けさせること。

④過大な要求
【該当するとされる例】
・長時間肉体的苦痛を伴う過酷な環境で、勤務に直接関係ない作業を命じる
・従業員に必要な教育を行わず、対応できないレベルの業績目標を設定して、達成できなかったことを厳しく叱責する
・業務とは関係のない私的な雑用を強制的に行わせる
【該当しないとされる例】
・労働者を育成するため、現状よりも少し高いレベルの業務を任せる
・繁忙期に通常時よりも一定程度多い業務の処理を任せる

⑤過小な要求
【該当するとされる例】
・管理職である労働者を退職させるため、誰でもできる簡単な業務を行わせること
・気に入らない労働者に対して嫌がらせのため仕事を与えない
【該当しないとされる例】
・労働者の能力に応じて、一定程度業務内容や業務量を軽減すること。

⑥個への侵害
【該当するとされる例】
・労働者を職場外で監視することや私物の写真を撮る
・労働者の機微な個人情報について、本人の了解を得ずに他の労働者に暴露する

【該当しないとされる例】
・労働者への配慮のため、家族の状況等についてヒアリングを行う
・労働者の了解を得て個人情報について必要な範囲で人事労務部門の担当者に伝達し、配慮を促す

パワハラの具体例

【パワハラ事例】
・私立高校に教師として勤める女性に対して、授業・担任の解任、職員室での隔離、自宅研修の命令などをパワハラと認め学校側が600万円の損害賠償の義務を負うとされた
・金属加工業の従業員が会社役員から暴行やパワハラ、退職強要を受けて自殺した事件では、これらの行為と死亡との因果関係を認め会社と会社役員に対して5,400万円の損害賠償が命じられた
・水道局の職員の男性が上司や同僚からいじめを受けていた事件では、市に対して安全配慮義務違反により国家賠償法上の責任を負うと認められた

まとめ

ここまでにパワハラの概要、パワハラ防止法、パワハラの6類型について解説してきました。
パワハラが深刻な社会問題となった背景からパワハラに関する法律が立法化され、大企業は2020年4月から中小企業は2022年4月に施行となりました。次のページからはパワハラの具体的な定義とパワハラ防止法で定められた事業主が講ずるべき措置について解説していきます。

『著者:社労士カワモリ』

※パワハラとは?気をつけるポイントと対策を紹介

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