キャリアアップ助成金正社員化コースは、有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換または直接雇用した場合に助成されます。
支給の対象となる事業主は、次の要件を満たす必要があります。
1.雇用保険適用事業所の事業主であること
2.雇用保険用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主であること
(複数の事業所および労働者代表との兼任はできません。尚、事業主や役員が管理者になることはできます。)
3.キャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けた事業主であること
4.労働条件通知書・出勤簿・賃金台帳等の提出ができる事業主であること
(原則として、一度提出された書類は差し替えや訂正を行うことができないため、提出前の丁寧な確認が必要です。)
中小事業主の場合の助成金額は以下の通りです。
※<>は生産性の向上が認められる場合の額
①有期→正規:1人当たり57万円<72万円>
②有期→無期:1人当たり28万5,000円<36万円>
③無期→正規:1人当たり28万5,000円<36万円>
※直近の会計年度から3年前と比較して生産性が6%以上伸びていれば、助成額が増額加算されます。
生産性とは:(営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課)÷ 雇用保険被保険者数
つまり、1人当たりの利益が増えている場合に対象となります。尚、上記期間中に事業主都合による離職者を発生させていないことが条件です。
また、生産性が6%以上伸びていない場合でも、金融機関から一定の「事業性評価」を得ていれば、直近の会計年度から3年前と比較して生産性が1%以上(6%未満)伸びていれば増額加算の対象になります。
1.キャリアアップ計画書の作成・提出
転換・直接雇用を実施する前日までに提出し、管轄労働局長の認定を受けます。
2.転換制度規定を含む就業規則の改定(もしくは作成)・提出
10人未満の事業所は労働基準監督署への届出の代わりに、事業主と労働組合等の労働者代表者の氏名等を記載した申立書でも可能です。
尚、従業員の残業が発生する場合、36協定届の締結がされているかどうかも確認しましょう。
3.転換・直接雇用に際し、就業規則の転換制度に規定した試験や面談等を実施
4.正規雇用等への転換・直接雇用の実施
転換・直接雇用の労働条件通知書を対象労働者に交付してください。転換・直接雇用前6か月間の賃金総額と比較し、3%以上の賃金増額が必要です。
尚、残業代や休日手当などの毎月変動する手当や臨時手当(賞与)は賃金総額に含めることができないためご注意ください。
5.転換・直接雇用後6か月分の賃金を支給・支給後に申請
6か月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月以内に支給申請が必要です。
6.審査・支給決定
審査期間は2か月~6か月かかります。
つまり、転換・直接雇用前と後それぞれ6か月分の賃金支給が必要なこと、また審査に時間を要するため、支給まで最短でも1年2ヶ月はかかります。
キャリアアップ助成金正社員化コースの支給に当たっては、正社員化コースの実施日の前日までに「キャリアアップ計画」を作成し、提出することが必要です。
次のページからはキャリアアップ計画書の作成方法と注意点、支給申請にあたり必要な添付書類について解説していきます。