人事労務解説

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人事労務解説 2021.09.28

試用期間とは?期間中の退職や解雇の取り扱い

試用期間とは?期間中の解雇や退職の注意

(後編です。前回まではこちらからお読みください。)

※試用期間とは?期間を設ける目的は何?

前回までは、試用期間の概要や試用期間を設ける理由、試用期間と研修期間の違いについて解説してきました。採用した従業員の能力や勤務態度等が本採用に相応しいかの適正を判断、評価するために、試用期間を設けることが一般的です。
ここからは、試用期間中に退職や解雇となる場合の取り扱いについてまとめていきます。

4. 試用期間中の退職はどうする?

試用期間中であっても、従業員本人が退職を申し出た時は、通常と同じく自己都合退職として取り扱い、退職の手続きを行います。会社がその従業員が業務を続けていく適正が無いと判断し解雇とする場合も同様に通常の会社都合退職として手続きを行うこととなります。
解雇については次の章で具体的に解説していきます。
また、試用期間と有期雇用契約期間を混同される場合もあるのですが、試用期間が試用期間後も雇い続けることが前提であるのに対し、有期雇用契約期間はあくまでその期間をもって終了するのが前提ですので、有期雇用契約の満了をもっての退職は解雇にはあたりません。
 

※関連:解雇とは 認められるケース認められないケースを解説

5. 試用期間中の解雇って可能?

試用期間中にその従業員を解雇したい場合、解雇をするには客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性があるかが求められますが、通常の従業員を解雇するときと比べて、解雇の判断にあたって社会通念上相当と認められる範囲が広くなります。
試用期間中の解雇が認められる例としては、病気やケガで業務を続けていくことが困難と判断される場合や、正当な理由がなく遅刻・欠勤を繰り返し度々注意されていても改善しない場合、採用時に提出した履歴書や職務経歴書の内容に虚偽があり詐称していた場合、期待していた能力がなく成績が明らかに悪い場合、等が挙げられます。
注意したい例としては、その職種や業界が未経験の場合、最初はその仕事ができなくて当たり前であるのに能力が無いとすぐに判断して解雇することは不当解雇としてみなされる可能性があります。
 
また、試用期間中の解雇であっても、通常時と同様、解雇予定日の30日以上前の解雇予告、もしくは、平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払う手続きが必要な点は変わりありません。
尚、雇い入れた日から14日以内であれば、解雇予告手当を支払わず即日解雇をすることができます。

試用期間と解雇基準の関係

まとめ

試用期間は、採用した従業員の能力や勤務態度等が本採用に相応しいかの適正を判断、評価する期間ではありますが、不当に労働条件を低くすることや簡単に解雇できるわけではありません。不当解雇とされないよう、試用期間の取り扱いについては注意しましょう。

『著者:社労士カワモリ』

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