国民年金とは、全国民が加入者となる年金制度です。老齢や障害、死亡によって生活の安定がそこなわれることを防止することを目的としています。このページでは高齢者に対して支給される老齢基礎年金を中心に国民年金に受給額の計算方法や支給の繰上げや繰下げよる年金の増減について解説していきます。
国民年金は原則的に全国民が加入者となる年金制度です。自営業者だけでなく会社員や専業主婦も制度への加入が義務付けられています。
国民年金の給付はそれまでの納付実績に基づき65歳以上の高齢になったときに給付が行われる老齢基礎年金、病気やケガなどを理由に障害を負った場合に給付がある障害基礎年金、被保険者本人が死亡したときに遺族の生活保障のための給付である遺族基礎年金があります。
国民年金の受給額はそれまでの納付実績により決まります。老齢基礎年金の場合は20歳以上60歳未満の40年間が全て保険料納付済期間である場合に満額の老齢基礎年金が支給されます。保険料納付済期間が40年に満たない場合は、満額からその割合に応じた額が減額されます。
満額の年金額
保険料納付済期間が480か月(40年間)である場合は、次の額が支給されます。
満額の年金額:780,900円×改定率(令和3年度:780,900円)
フルペンション減額方式による年金額
保険料納付済期間が480か月(40年間)に満たない場合はフルペンション減額方式によって計算した額を支給します。フルペンション減額方式の計算式は下記のとおりです。
学生納付特例の期間や納付猶予の期間についてはここでいう全額免除の月数には含みません。学生納付特例期間や納付猶予の期間は年金を受けるために必要な加入期間である受給資格期間には算入されますが、老齢基礎年金の額には反映されません。
支給額の例
保険料納付済期間が380月、全額免除期間が100月ある場合
満額:令和3年度780,900円
780,900円(満額)×(380+100÷2)÷480=699,556円
老齢基礎年金は65歳から支給されるのが原則となりますが、支給の繰上げや繰下げをすることができます。繰上げ繰下げが行われた場合は一定割合増減した年金が支給されます。
老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている者は60歳以上65歳未満である間に厚生労働大臣に支給の繰上げの請求をすることができます。
支給の繰上げを行うと65歳から支給されるべき年金額から、次の減額率を乗じた額を控除した額が支給されます。
老齢基礎年金の受給権を有する者で66歳までに老齢基礎年金の裁定請求をしていなかったものは、厚生労働大臣に支給繰下げの申出をすることができます。
支給の繰下げをした場合は老齢基礎年金の額に次の増額率を乗じた額を加算した額が支給されます。
このページでは国民年金の概要と老齢基礎年金の受給額の計算方法、年金額の増減について解説してきました。次のページからは免除の条件や手続きについて解説していきます。