(後編です。前回まではこちらからお読みください。)
前回までは、処遇改善加算の概要、種類(区分)、計算方法について解説してきました。処遇改善加算の額は、その会社が処遇改善のために実施し、要件を満たしているかによって異なります。ここからは、処遇改善加算のキャリアパス要件、職場環境等要件について解説していきます。
処遇改善加算の計算にあたって、必要な要件を満たすことで加算区分が決まり、加算額、加算率も決まります、その必要な要件として重要なのが「キャリアパス要件」です。キャリアパス要件は以下の通りⅠ~Ⅲの3つに分かれています。
①職員の職位、職責または職務内容に応じた任用等の要件を定めていること
②上記①の職員の職位、職責または職務内容に応じた賃金体系について定めていること
③就業規則等の明確な根拠規定を書面で整備し、全ての職員に周知していること
①職員の職務内容を踏まえ意見交換しながら、資質向上の目標及び以下の何れか関する具体的な計画を策定し、その計画に係わる研修の実施または研修の機会を確保していること
・資質向上のための計画に沿って、研修機会の提供または技術指導等を実施(OJT、OFF-JT等)するとともに、介護職員の能力評価を行うこと
・資格取得のための支援(研修受講のための勤務シフトの調整、休暇の付与、費用(交通費、受講料等)の援助等)を実施すること
②上記①について、全ての職員に周知していること
①職員が、経験や資格等に応じて昇給する仕組みまたは一定の基準に基づいて定期的に昇給を判定する仕組みを設けていること
②上記①に該当する具体的な以下の何れかの仕組みを実施していること
・経験に応じて昇給する仕組み
・資格等に応じて昇給する仕組み
・一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み
キャリアパス要件Ⅰ~Ⅲとは別に求められているのが、「職場環境等要件」です。「入職促進に向けた取組」「資質の向上やキャリアアップに向けた支援」「両立支援・多様な働き方の推進」「腰痛を含む心身の健康管理」「生産性向上のための業務改善の取組」「やりがい・働きがいの醸成」の6区分について、それぞれ1つ以上の取り組みを実施することが求められています。(2021年度は6区分から3区分を選び、それぞれ1以上の実施で算定可能となる特例となっています)
今後さらに介護需要が高まることが予測されるため、介護職員の人員確保をするためにも処遇改善加算の受給は非常に重要となります。キャリアパス要件等必要な事項をよく確認し、申請をスムーズに進められるよう会社として体制を整えておきましょう。