人事労務解説

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人事労務解説 2022.01.12

標準報酬月額が決定される時期と決定方法を解説

(後編です。前回まではこちらからお読みください。)

社会保険料計算の基礎、「標準報酬月額」について解説

前回までは、標準報酬月額の概要や算出方法、算定の基礎となる報酬について解説してきました。
標準報酬月額の算定対象に含める報酬、含めない報酬が決まっているため注意が必要です。
ここからは、標準報酬月額が決定される時期と決定方法について解説していきます。

3.標準報酬月額が決定される時期と方法

標準報酬月額が決定および改定される時期は5回あり、全て届出が必要となります。

①資格取得時決定

入社等で新たに社会保険の資格を取得する際に、標準報酬月額が決定します。
資格取得時の報酬を基準に月額に換算し、「健康保険厚生年金保険被保険者資格取得届」に1か月当たりの報酬の見込額を記入し届け出ることで標準報酬月額が決定します。決定された標準報酬月額は、1月から5月に決定があったときはその年の8月まで、6月から12月までに決定があった場合は翌年の8月まで適用されます。

※引用:日本年金機構HPより

②定時決定

毎年、4月から6月の3か月間に支給された報酬の平均月額により、その年9月から翌年8月までの1年間の標準報酬月額が決定されます。
4月から6月の報酬支払い基礎日数が17日以上ある月の平均報酬額が用いられ、報酬支払基礎日数が17日未満(短時間労働者で被保険者になっている人は11日未満)の月がある場合は、その月を除いて標準報酬月額が決定されます。
業務の性質上、季節により繁閑の差が激しく、4月から6月の平均による標準報酬月額と、前年7月から当年6月までの年間平均による標準報酬月額の間に2等級以上の差が生じる場合は、被保険者の同意を得て申し立てることにより、年間平均により届け出をして標準報酬月額を決定することができます。
コラム算定基礎届リンク:https://sharoushi-shoukai.net/column/post210512/#cts01

③随時改定(月額変更)

報酬が大幅に増減した場合は随時改定(月額変更)の対象となり、定時決定を待たずに標準報酬月額が改定されます。
昇給や降給により固定的賃金が変更された場合や、時給制から月給制への変更等労働条件が変更された場合その月以後の継続した3か月間に受けた報酬(非固定的賃金を含む)により算出した標準報酬月額と、従来の標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じる場合に、その3か月間の最後の月の翌月から標準報酬月額を改定します。
その継続した3か月間の報酬支払い基礎日数が全て17日以上(短時間労働者で被保険者になっている人は11日以上)である場合は改定されますが、その日数に満たない月がある場合は随時改定の対象とはなりません。

④産前産後休業終了時改定

産前産後休業が終了し、職場に復帰後3か月の平均報酬月額から算出した標準報酬月額が、休業前と比べて1等級以上差が生じる場合には、「健康保険・厚生年金保険産前産後休業終了時報酬月額変更届」の提出により標準報酬月額を改定すること可能です。
ただし、報酬支払い基礎日数が17日未満(短時間労働者で被保険者になっている人は11日未満)の月は除いて計算します。

⑤育児休業終了時改定

育児休業が終了し、休業終了後3か月の平均報酬月額から算出した標準報酬月額が、休業前と比べて1等級以上差が発生する場合には、「健康保険・厚生年金保険育児休業等終了時報酬月額変更届」の提出をすることで標準報酬月額を改定することが可能です。
ただし、報酬支払い基礎日数が17日未満(短時間労働者で被保険者になっている人は日未満)の月は除いて計算します。

まとめ

標準報酬月額は、社会保険料を算出するための基準の額ですので、算出する上でどのような給与が対象となるのか、どの時期に改定が発生するのかを把握しておくことが重要です。
標準報酬月額の決定・改定に漏れがないよう、算出方法や手続き方法はもちろん、給与額の変動により随時改定の対象となるかどうかについても普段から確認しておきましょう。

『著者:社労士カワモリ』

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