人事労務解説

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人事労務解説 2022.02.14

労基の監査が来る!どんな調査をされるの?

労働基準監督署(以後「労基署」)は、会社が労働時間や労働条件、労働環境等が労働基準法等各労働関係法令に違反していないかを監査する権限を持っています。このページでは、労基署監査の目的、労基署監査が決まる過程、労基署監査の流れについて解説していきます。

1. 労基署監査の目的

労基署監査はのルーツは憲法にあります。憲法25条は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と定めています。この憲法25条の理念を実現するために制定された、労働基準法等に基づいて、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるか確認することを目的として、労基署監査を実施しています。そして監査のために労働基準監督官に対して事業所へ立ち入り調査をすることを、労働基準法をはじめとした労働関係法令を根拠に認めています。

2. 労基署監査はどうやって決まる?

労基署による監査のことを「臨検監督」と言います。
臨検監督が行われるきっかけとしては、大きく3つあります。

①従業員からのタレコミ
②定期監督
③労災申請

1つずつ見ていきましょう。

①従業員からのタレコミ

自社の従業員が労基署へ「残業代の未払いがある」や「不当に解雇された」「パワハラを受けた」等とタレコミをして、それにより労基署からその会社へ監査が入るパターンで、「申告監督」と呼ばれています。
在籍中の従業員だけでなく、退職した従業員による申告の場合でも申告監督の対象となります。申告内容による監督を行った結果法令違反が認められた場合は是正勧告が出されることとなります。もし申告者を特定できたとしても、申告したことを理由に解雇や左遷等不当な扱いをすることは労働基準法違反となります。

②定期監督

定期監督は、その年度の監督計画に基づき調査対象となった会社を法令全般に渡って調査する方法です。原則抜き打ちでの調査を行いますが、電話や書面による日程調整をしてから行われる場合もあります。臨検監督の中でも代表的な調査ですが、労働者の申告によって行われるものではないため、どの程度調査をするかは監督官の裁量に委ねられています。定期監督によって法令違反が認められた場合は是正勧告が出されることとなります。

③労災申請

労働災害が発生した場合に、原因究明と再発防止のために実施される調査で「災害時監督」と呼ばれています。提出された死傷病報告や労災の請求書などから、事故の発生原因に法令違反に該当しそうなものがないかを労働基準監督官がチェックして監督を行います。事故現場だけでなく、労働者の人数や労働時間が適切であったか、安全管理体制が整っていたか等も調査対象となります。

3. 労基署監査の流れ

労基署監査は、おおむね以下の流れとなります。

①事前に電話連絡もしくは突然の来訪

②監督官による調査

③是正勧告書等の交付

④是正報告書の提出

①事前に電話連絡もしくは突然の来訪

従業員からのタレコミによる申告監督の場合は、事前に訪問日を伝えるとデータを不正に処理される可能性があるため予告なしに突然来訪することもあります。

②監督官による調査

実際の調査では、一般的に以下の事項を行うことが多いです。
・労働関係帳簿書類の確認
・事業主や責任者へのヒアリング
・勤務実態の確認
・労働安全衛生法に関する状況の確認
・事業場内の立入調査や労働者へのヒアリング
・口頭による改善指導や指示

③是正勧告書の交付

調査が終わると、労働基準監督官から調査結果の報告を受けることとなります。結果によって通知書類が以下のように異なります。
・法令違反ではないが、改善が必要な場合:指導票を交付
・法律違反の場合:是正勧告書を交付
・労働者に危険があり、緊急を要する場合:使用停止等命令書を交付

④是正報告書の提出

労働基準監督署に指摘された内容について、具体的に改善したことを証明する「是正報告書」を提出します。また、改善内容も重要ですが指定された提出期日を守ることも重要です。もしも期日までに提出することが難しい場合は事前に労働基準監督書へ相談しておくのが賢明です。

※引用:厚生労働省HPより

まとめ

ここまで、労基署監査の目的、労基署監査が決まる過程、労基署監査の流れについて解説してきました。
監査の流れがイメージできるといきなり監督官が来訪しても多少慌てることも少なくなるのではないでしょうか。後半では、監査で具体的に見られるポイントや監査に備えて対策できることを解説していきます。

次のページからは、労基の監査が来る!今からやるべきこと、ポイントを解説していきます。

『著者:社労士カワモリ』

労基の監査が来る!今からやるべきこと、ポイントを解説

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