人事労務解説

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人事労務解説 2021.11.26

週休3日制とは?② メリット・デメリットと給与計算方法について解説

週休3日制とは?② メリット・デメリットと給与計算方法について解説

(後編です。前回まではこちらからお読みください。)

週休3日制とは? 週休3日制の導入方法(待遇・制度)について解説

前回は週休3日制の概要と導入した場合の待遇・制度についてまとめました。ワークライフバランスの重視や労働力不足、新型コロナウイルス感染拡大を背景に週休3日制が注目されていますが、ここからは週休3日制のメリット・デメリットと給与計算方法について解説していきます。

4. 週休3日制のメリット・デメリット

週休3日制のメリット・デメリットについて、企業と労働者それぞれで解説します。

企業のメリット

社員のモチベーションと生産性の向上:毎週3日の休日で心身の健康が促進され、アイデアが生まれやすく仕事の創造性アップも期待できます。
離職者の減少と優秀人材の確保:魅力ある制度を持つ会社に対して満足度が高まることで離職を防げます。また、多様で柔軟な働き方を実現できる企業として認知されると、優秀な人材を獲得しやすくなります。
コスト削減:従業員が出勤する日数が減ることで、オフィスの光熱水道費などのコストの削減ができます。
新型コロナウイルス感染拡大防止:職場での人の密集を避けたり、従業員が混雑した通勤電車に乗る機会を減らすことで、感染リスクを減らす効果が期待できます。

労働者のメリット

働き方の選択肢が増える:育児や介護、家族と過ごす時間や趣味、仕事以外の勉強や副業など、自分のライフスタイルに合わせた多様な働き方ができるようになります。
新型コロナウイルス感染リスクの低減:人が集まるオフィスへの出勤や満員電車に乗る機会が減ることで、感染リスクの低減に繋がるとともに、出勤日が減ることによる満員電車や交通渋滞といった通勤ストレスも軽減できます。

企業のデメリット

勤怠管理・給与体系の複雑化希望する従業員のみ週休3日制を導入する場合、従業員によって休日日数や給与体系が異なるため、勤怠管理や給与計算が複雑になります。
変形労働時間制の場合フレックスタイム制や1か月単位の変形労働時間制の導入を検討する必要があります。また、1日の労働時間が長くなるため、従業員の健康管理の強化が必要です。
休日増加型の場合休日が1日増える分、1日あたりの労働時間や作業量が減るため、業務が停滞したり結果として1日あたりの労働時間が増える=割増賃金が増加する可能性があります。

従業員のデメリット

変形労働時間制の場合:今までと労働時間・給与は同じで休日が増えるため、1日あたりの労働時間が長くなり、業務量も増える可能性があるため、負担になる場合があります。
休日増加型の場合休日が1日増える分、労働する予定の時間分の給与が減額されます。
年金や社会保障への影響休日増加型の制度の場合、給与が減ると将来受け取る年金をはじめ、健康保険や介護保険、出産手当金など様々な社会保険の給付金も少なくなる可能性があります。厚生年金保険料など社会保険料は「標準報酬月額」により決定され、給与が減ったことで等級が下がることになれば、支払う保険料は安くなりますが、出産手当金や育児休業給付金、介護休業給付金も少なくなり、将来受け取る年金額も少なくなります。

5. 週休3日制の給与計算はどうなる?

週休3日制の給与計算はどうなるのか、前編で述べた3つの導入方法ごとに解説します。

変形労働時間制

今までと労働時間・給与は同じで休日が増える制度のため、これまで通りの給与計算となります。但し、1日の労働時間が8時間を超えるため、割増賃金が発生します。この割増賃金発生を抑制するためにフレックスタイム制や1か月単位の変形労働時間制の導入が必要です。

休日増加型

休日が1日増える分、労働する予定だった時間分の給料を減額します。週の所定労働時間が1日8時間、週40時間とすると、1か月に32時間分(8時間×4日)の賃金が減額となり、給与は約2割減額となります。尚、労働時間減少による給与減額のため、社会保険料標準報酬月額の等級が下がる可能性があります。健康保険厚生年金保険料が変更となる場合がありますので、確認が必要です。また、休日が1日増えたことで週の所定労働時間が30時間未満となると、年次有給休暇が比例付与となる点にも注意してください。

労働時間短縮型

週の労働時間を減らすが給与は同じ制度のため、これまで通りの給与計算となります。但し、労働時間が減るなかでも同様の成果を出さなければならないため、生産性向上のための仕組み作りが必須となります。

~変形労働時間制(週休3日制・1日10時間労働)を導入した場合のイメージ~
※1か月の暦日数が31日の場合の労働時間上限は177.1時間

週休3日制 1ヶ月単位の変形労働

6. まとめ

週休3日制は政府が企業に導入を促すだけでなく、企業としてもワークライフバランスの重視や労働力不足、新型コロナウイルス感染拡大を背景に注目されていますが、導入する場合は制度設計が必要不可欠です。週休3日制のメリット・デメリットをよく理解した上で、導入を検討したほうがよいでしょう。

『著者:社労士カワモリ』

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